ジム研究その７　－連邦軍艦艇におけるMS搭載

　写真で遊んでいるばかりにいかないので研究の方も進めていこう。 　さて左の映像をはじめてみた際、衝撃を受けた。それは甲板にMSが貼り付けられており、しかもそこから発進しているからである。他にも、上下両面に係留されている記録も多数ある。 　一方、ジオン軍では、初期の記録映像ですでにムサイ級に格納設備が整っているのが確認できるので、このジオンとの差はなんだとおもっていた。しかし、後年再度見直したときに、特にテレビ用の映像をみるとこれは全くの思い違いであることがわかった。 　右の映像は巡洋艦サラミスの船腹より発進するジムを写したものである。MSの格納設備はちゃんとあるのである。 　とはいってもホワイトベースではカタパルトが装備されたデッキから発進するのに対し、安っぽいつくりは否めないが、内部の奥行きから考えるとほぼ船幅に近い大容量の空間があることになり、搭載できるMS数はけっして少なくない可能性がある。 　左は戦艦マゼランより発進するボール。艦橋および主砲の位置関係からみて、第２主砲手前に収容スペースがあったとおもわれる。 　側面からの発進 は、大気圏内においては空気抵抗により、船体から離れたと同時に減速してしまう可能性がある。しかし宇宙空間においては母艦の慣性をそのまま引き継ぐの で、カタパルトのような加速装置は特に必要ない。母艦から離れたあと自機で少し加速すれば前方に進行できる。　 　また地球においては、空母の操舵主は作戦時に船を風上に向け、最大船速で進み、できるだけ多くの風力（揚力）を発進する飛行機に与えようとするが、大気圏外ではもちろんそのようなことは必要なく自由な運用形態をとれる。 　右の映像は同じくマゼランの後部より発進するジム。こうなるとマゼラン１隻で相当の数のMSが搭載できたことが推測される。 　サラミス級やマゼラン級はホワイトベースのような大気圏内での活動を想定していないため、専用の発進着艦設備がいらない分、MSの搭載方法は自由であったのである。 　 こうしたMS搭載能力を持った艦艇は主にジャブローでジムと共に建造されていたとおもわれる。これらはホワイトベースがおとりとなってザンジバルと交戦中 に、宇宙にあがったとおもわれ、ソロモン攻略戦においては、サイド１の残骸に隠れて侵攻したティアンム主力艦隊の大部分を形成していた。 　最後の映像はジャブロー内で停泊...

ジム研究その１　－第2次ジャブロー侵攻作戦にみる

ジムの生産は南米ジャブローの地下工場で行われていたが、その中身については当時ジャブロー自体が地球連邦の極秘事項であったこともあり、今日残っている史料は少ない。
　 ギャンと同じように今回も１次資料に基づき概要を明らかにしたいとおもうが、まずはマッドアングラー隊のシャア大佐率いる破壊工作の記録を手がかりにみて いくことにしよう（写真）。この破壊工作の時期については劇場公開版とテレビ版において異なるが、より編集の跡が少ないとおもわれるテレビ版を正とする。
　 さて、これによるとジャブロー侵攻は２回に分けられる。第１次のジャブロー侵攻作戦は、マッドアングラー隊がホワイトベースをアイルランドからはるばる大 西洋を越え追跡するという執念で、遂に入口を発見したことに端を発する作戦であった。シャア大佐はすぐさまキャルフォルニアベース隊と連携して攻撃に入っ た。これはガウ攻撃空母の大編隊と重モビルスーツを含むMS部隊を投入した大規模な空挺作戦であったが、地球連邦の徹底した防戦とジャングルという天然の 要塞の前に失敗した。ちなみにシャア大佐自身もこの時、ズゴッグに乗り込みガウから降下している。
この数日後に行われたのが第２次侵攻作戦である。これは少数の工作員で構成された破壊チームが、地下水脈を遡ることでジャブロー深部に潜入する形で行われた。
　 ここで彼らはジムの生産工場を目のあたりにする（写真）。彼らがこのように基地深部に易々と侵入ができたこと、また監視カメラの記録に残されながら発見さ れなかったことについては所論があるが、地下水脈という予想が困難な進入経路に加えて、前日のジャブロー空襲により基地内が混乱状態にあったことが考えら れる。おそらく生産は一時停止されて工場スタッフも復旧活動に借り出されていたのだろう。また1次侵攻作戦でも露呈されたが、監視所スタッフの監視モニ ターよりもテレビ番組に気を取られるような低い士気が、基地全体に蔓延していたのかもしれない。
　このようなジャブロー奥深くの工場でジムはたんたんと生産されていたのである。